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日本人は無宗教者が大半であるという説もありますが、果たして本当でしょうか?たしかに、周りの人に宗教を持っているか聞いてみても首をかしげる人が多いかも知れません。

しかし、本人の自覚がなくてもじつは仏教徒という人は意外に多いのです。これは、先祖のお墓が深くかかわってきます。少なくとも自分の親なり祖父母がどこかの寺の檀家である人は、自動的に仏教徒に計上されます。仏教徒9800万人という日本における数字は、そのように自動計上された人の数も含まれるのです。

いや、そうであっても自分は、神や仏は信じないよ!という人がいるかもしれません。しかし、そういう人は、無宗教者というよりも、無神論者なんです。ですので、家がどこかの寺の檀家で、神仏を信じない人というのは、無神論者の仏教徒という変な立ち位置になります。

そんなことからもわかるように、仏教は先祖のお墓や葬式などの人間の終末期と深く結びついています。古来、日本において人間の死体は、汚れたもの+祟られるものとみなされてきました。ですので、人が死んだときは、力のある若者が死体を担いで、人里離れた山などに遺棄したのです。

その際も、遺棄した後は、逃げ帰るように里へ帰り、なんとも言えない恐怖と罪悪感を抱えていたと言います。その死体に対するイメージを一気に覆したのが、鎌倉時代に入ってきた仏教です。仏教は、人は死んでも生まれ変わるという輪廻転生の考え方を持っていました。

人の死を輪廻転生で捉える僧侶は、人の死体を恐れません。ですので、淡々と供養し荼毘に付したのです。この姿を見て里の人々は感動し、その後人が亡くなった後は、僧侶を呼ぶという習慣が根付いたのです。以来、現代にいたるまで、仏教と言えば葬式や墓や先祖供養で重要な役割を果たしてきたのです。

さて、一方300万人という数字を見てみましょう。仏教徒人口に比べると、大変物足りない数字です。そうです、これが日本のキリスト教徒の人口なのです。比率でいえば、約0.8%といわれています。その中で、宗派として多いのは、カトリックです。仏教徒に比べて、無意識にクリスチャンという人は少ないかも知れません。

ですが、クリスチャン人口1%未満という数字は、先進国だけでなくアジアにおいてさえ、大変低いのです。世界的な宗教であるキリスト教が、なぜここまで広まっていないのか、疑問に思います。

江戸時代に、キリシタン迫害などに代表される異教徒への弾圧があったからという説や、もともと日本は、多神教がなじむ国で、一神教のキリスト教はなじまないなどなど。色々な説はありますが、現実問題この信者数なんです。

とはいえ、こんな低い信者数にも関わらず、どうしてかクリスマスは多くの人が祝います。いわずと知れた、クリスマスは、イエス・キリストが生まれた日ですね。実は、信者数は1%未満のキリスト教ですが、日本においては、その貧弱な数字では測れない影響力があります。

仏教が葬儀などに強い力を発揮するのなら、キリスト教は文化的側面で大きな役割を果たしているのです。その1例として、ミッション系の学校というものが日本にはあります。比較的良い家の子女に人気のこれらの学校は、キリスト教系の団体が母体です。

その他にも、日本でも盛んなボランティア事業や社会奉仕活動なども、元はといえば西洋のキリスト教の理念から生まれたものです。そういう意味では、仏教という土着の宗教にキリスト教というハイカラな宗教が混じり、日本の文化や伝統は独特の発展を遂げてきたといってもいいかもしれません。